2019年度「平和のきずな献金」 学習資料

 

 

「神様の業が、ひとりひとりの人生に現れるように~シロアムの園から~」

                 

 

 

公文和子(代表・日本基督教団柿ノ木坂教会)

 

 

 

① 「シロアムの園」は、東アフリカ・ケニアの首都ナイロビ郊外にあります。ここが入口です。「障がい」のある子どもとその家族を支援するために、2015年に開設されました。アフリカと言えば、貧困や紛争のイメージが大きいと思いますが、大きく発展しようとしています。特にケニアは経済も発展し、大きなマンションやショッピングモールなどができ、お金さえあれば多くのものが買えます。でも、その陰で、「障がい」児にはなかなか光が当たらないのです。

 

② 世界の子どもと若者の10人に一人(約2億人)に、何らかの「障がい」があると言われています。そのうちの80%が開発途上国に住んでいます。開発途上国という言葉は難しいですが、アジア、アフリカ、南米に多いです。わたしたちは誰一人、自分から「障がい」がほしいと思って生まれてきたわけではありません。けれども神さまは「障がい」をもった子どもを含め、一人一人の人生に素晴らしい計画を立て、目的をもっていのちを与え、それぞれを大切に愛していらっしゃいます。

 

③ ケニアにも「障がい」のある子どもたちがたくさんいます。ケニアでは、「障がい」のある子が生まれると、「お母さんが悪いことをしたからこんな子どもが生まれた、家族に呪いがかかっている」など言われることがあります。助けてくれる学校や病院も少ない子どもたちがたくさんいます。けれども、イエス様はそのような子どもたちやご家族も愛され、イエス様の目的のために生きてほしいと願っていらっしゃいます。

 

④ これはシロアムの園のスタッフや子どもたちが集まった時の写真です。どの人がスタッフで、どの子どもが「障がい」のある子かなんてわからないですね。わたしたちスタッフは、必要な医療、教育、訓練などのお世話をします。「障がい」のある子どもたちがもっている力を十分に生かし、ひとりひとりが目をキラキラと輝かせて、喜びをもって生きていってほしいと思っています。「障がい」のある子もそうでない子も、人生を楽しみ、たいせつな一人になっていけるような社会に変えていきたいと思っています。

 

⑤ シロアムの園の一日は「朝の会」から始まります。お家で嫌なことがあった子どもや家族も愛をもって迎えられ、みんなが「シロアム家族」になり、歌ったり踊ったりお話や手遊びをします。それからお祈りをして、喜びをもって一日を始めます。朝の会のお祈りは、「神さま、この朝をありがとうございます。今日も一日祝福してください」です。体を動かすのが上手でない子どもたちも、お母さんやおばあちゃんと一緒に楽しみながら参加します。

 

⑥ シロアムの園に来る子どもたちの多くは、それまで外で遊んだり、お友達と一緒に遊んだりというような、みんなが当たり前にしていることをしたことがありません。シロアムの園では、泥遊び、水遊び、楽器やおもちゃでの遊びなど、子どもたちがこれまで経験していないことを体験し、心と体の成長を心がけます。お家でいるとひとりぼっちのことが多いので、先生やお友達、家族と一緒に遊びます。皆もお友だちと一緒に遊ぶ方が楽しいですよね。

 

⑦ 子どもたちには一人一人得意なこと、苦手なことがあります。得意なことをして楽しみながら、できるだけ苦手なことが少なくなるように訓練します。皆さんも、たとえば苦手な鉄棒などをいっしょうけんめい練習して、できるようになったら嬉しいですよね。写真の子どもたちも嬉しそうに頑張っていますね。

 

⑧ 障がいのある子どもたちは、痙攣(けいれん)を起こしたり、肺炎などの感染症を起こしやすいため、医療を通して体の問題にも取り組みます。右側で聴診器を当てて診察しているのが私です。日本のお医者さんは白衣を着ていることが多いですね。私は子どもたちが怖がらないように、いつもと同じ洋服で笑顔で診察します。

 

⑨ シロアムの子どもたちは、「食べること」が難しい子どもばかりです。噛んだり飲み込んだりできない子どもたちもたくさんいます。好き嫌いが多く、噛まないで全部飲み込んでしまう子もいます。食べさせる家族も必死で、ご飯の時間が楽しくありません。食事は心と体の栄養となりますから、子どもたちもご家族も楽しめるよう、食べる練習や、お料理を一緒に考え、食卓が皆にとって恵の時となるようにしています。

 

⑩ 皆さんも、お誕生日のお祝い、入学、卒業、家族旅行、発表会など、いろいろな「出来事」を楽しみにしていると思います。ケニアの「障がい」のある子どもたちは、そのような「出来事」がなく、昨日も今日も明日もただ同じように過ぎていきます。そのような子どもたちや家族が、何かを楽しみに待ったり、みんなで楽しいことを一緒にしたりすることで、とても元気になります。

 

⑪ シロアムの園のロゴは、「園」の中心にあるイエス様の愛を示す十字架に、形も色も違う手形が連なっています。私たち一人一人は違った賜物(プレゼント)をいただき、違った人生を生きていますが、一人一人が「特別なひとり」です。この「特別なひとり」がイエス様の幹に連なって生きていく時に、一人一人が全体の中で輝き、「必要な存在」になっていきます。私たちはそのような社会を目指しています。

 

⑫ 「みんなで共に生きる」という思いで活動しています。2019年9月現在、87人が登録し、40名が定期的に通い、毎日15人位の子どもがいます。社会から受け入れられていない子どもや家族が、シロアムのスタッフを通して、神様の愛を感じ、喜んで一緒に生きるようになっていきます。日本も経済的に発展しましたが、失ってしまった大切なこともたくさんあると思います。私たちは、ケニアで、子どもたちを守り、大切にする優しい社会を作っていきたいと心から願っています。

日本にいる皆さんも、「シロアムの園」にいる子どもたちのためにお祈りしてくださいね。